Orange County Buddhist Church
仏との出逢い
今回は先月の光輪ニュースレターに英語で寄稿しました「MOMENT OF ONENESS」を日本語訳にしてご紹介します。
宗祖親鸞聖人がお開きになった浄土真宗は、大乗仏教の頂点と言われ、その尊いみ教えは、仏説無量寿経(大経)に述べられていますように、仏さまはこの世の生きとし生けるものすべてをご名号南無阿弥陀仏によって救ってくださるというものです。 仏さまにお救いいただくということは、煩悩具足の凡夫である私たちが、法性法身である真如の世界にご一緒させてもらうということであり、誠に不可思議なことでざいます。
お寺でお勤めしていますと毎日いろいろなことがあります。 今回はそのいろいろな出来事のうちで、とても心に残ったことをお話させていただきましょう。
夕方5時になり、そろそろ帰宅の用意をしていたある日、今まで見たことのないカップルがお寺のオフィスに向かって歩いてこられます。 お二人は窓に張ってある写真をご覧になっていました。 「誰かを探してられるのかしら? BEC仏教・真宗講座に興味があるのかしら?」とか思いながら、私はドアから頭を出して、「ハロー、何かご用ですか?」と尋ねました。
男性の方が「お寺の日本庭園を見てるのです。 とても美しいので、もう少し見ても良いですか?」言われました。 「ええ、勿論ですとも。 ゆっくりご覧くださいね。」と言いながら、ふと女性の方に目を向けると、目のご不自由な方であることが分かりました。 男性の方は女性の方の肩をしっかり抱かれながら私に「これは、私のワイフです。」と紹介されました。
男性の方は仏教や日本文化に興味があるらしく、花祭りの話や日本に行かれたときの話などをされて、そしてそのベトナム系中国人の奥様と巡り会われた話に花が咲きました。 そしてお二人は、また日本庭園に向かわれたのですが、間もなくするとまた、オフィスに来られて、「あの・・、本堂を見せてもらえませんか?」と言われました。 このご主人が目の不自由な女性とご結婚された経緯は何だったのか思いながら、私はお二人を本堂にご案内したのです。 ミニ・チャペルにたどり着くまで、ご主人は奥様の肩をしっかり抱かれ、ご一緒に歩かれました。
ミニ・チャペルのドアを入るやいなや、奥様が直ぐに「ああ・・なんて良いお香の匂いでしょう。」 本堂にはいると内陣がどんな風になっているかとご主人の説明が始まりました。 「お内陣は仏さまの世界である浄土を表しているのですよ。」と私は申し上げました。 果たして、奥様の方がまったく視力がないのか、それとも少しは見えるのか分かりませんので、私はお線香をくべて、大鏧(だいきん)をゴ~ンと打ちました。 「そのゴ~ンという音、小さいときによく聞いたわ。」と言われました。 そして、私は奥様に「お焼香をされませんか?」とお聞きして、彼女の右手を取って香盒(こうごう)に差し入れて、お香を一つまみ香炉にお焼香されました。 そして、彼女はご主人と私と一緒に南無阿弥陀仏をお称えされました。 その一瞬のことです。 一筋の涙が彼女の不自由な目から流れたのです。 私の目にも涙が一杯。 そのとき感じたのです。 仏さまが私のなかに、彼女のなかに、そしてご主人のなかに入って来られたように感じました。 仏との出逢い・・・ を感じたのです。 光といのちの限りない仏さまにいただかれて、仏さまとご一緒であることを感じたのです。 言葉で言い表すことが出来ない体験でした。 まさに、それは法性法身の世界なのでしょう。 そのあと、私はお二人に出逢えたことをとても嬉しく思いました。
奥様はきっと阿弥陀如来さまにお会いになりたくて来られたのでしょう。 阿弥陀さまのすべてのものを救い、決して捨てることのない摂取不捨の尊いお心を感じられたに違いありせん。 たとえ、目がご不自由でも、奥様は心の眼(まなこ)で阿弥陀さまの限りない無量光をしっかりと身体で受け止められたことと思います。
数多い仏教寺院のなかで、お二人はわざわざ、このお寺に来られました。 彼女はご主人の助けをいただかれながらお寺に来られたのです。 本当に結構なご縁をいただきました。
お寺に来られる方は、皆さま、阿弥陀如来さまの大事なお客さまです。 阿弥陀如来さまのお招きの声を聞かれたのです。 最後にお二人は、「なんだか、馴染み深い心の故郷に帰ってきたみたいです。」と言われ、パーキングに向かわれました。 その通りです。 お二人は心の故郷であるこのお寺に来られたのです。 そしてまた、いつか多くの法友に逢われることでしょう。
OCBC、なんて有難いところでしょうか。
南無阿弥陀仏 ワンドラ 睦
May 2008
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