Orange County Buddhist Church
宗祖降誕会と母の日
オレンジ郡はもう初夏を感じさせる五月晴れに恵まれています。五月は「母の日」、そして仏教会では五月十九日(日)宗祖親鸞聖人「降誕会」大法要が営まれます。
ここに御紹介するお話は、五月にふさわしいものですし、私が以前南アラメダ郡仏教会に勤めていた時の本当のお話です。
南アラメダ郡仏教会のJr.Y.B.(青年部)の一人に服部マーシャル君と云う、当時ハイスクールの青年がおりました。彼はJr.Y.B.の宗教部部長などもやる活発な明るい若者です。彼はお父さんをあのベトナム戦争で不幸にも亡くしました。今はお母さんと彼のお兄さんとの三人家族です。
このファミリーは毎週サンデーには仏教会にお参りし、いつも笑顔がたえない大変仲の良い家族です。マーシャル君は毎年五月の「母の日」にはプレゼントをしていました。今年もお母さんに何か「母の日」の贈り物をと考えていました。お金は丁度自分が貯めたお小遣いと、学校のあいまに働いた分と合わせて二十五ドル程ありました。彼は、何日も何日もかけてお母さんにあげる贈り物を見つけるためにショッピングに出かけました。彼はあれが良いかなぁー、これが良いかなぁーと思案にくれていました。彼の希望はお母さんが一番喜んでくれて、いつまでも記念になるものをと考えていましたからなかなかこれといったプレゼントが見つかりませんでした。ある日突然に素晴らしい考えが彼に浮かびました。「そうだ、これにしよう!」これこそまさしく最高のプレゼントだと彼は飛び上がって喜びました。
彼は以前、自分がお寺のダーマスクールで作った小さなお仏壇をいつも自分の部屋に置いていました。彼はそのお仏壇を特に綺麗にし、お供えの花やお線香そしてお母さん用のお念珠も買いました。「母の日」の当日、服部ファミリーはいつものように日曜日のお参りに仏教会に行き、そして帰宅すると早速マーシャル君はお母さんとお兄さんを自分の部屋に招待しました。彼の部屋はきれいに掃除されお仏壇にはお花とキャンディーが供えられ、お母さんとお兄さんが座るイスが置かれてありました。
彼は少してれながらも満面に笑顔をうかべ「お母さん、今日は親鸞さまのお誕生日と母の日ですね。僕は今日素晴らしいプレゼントを用意しました。それは、これから僕が導師になってお勤めをする短いサービスです」と云って『十二礼』を一生懸命に読経しました。そして今は亡きお父さんの写真に一礼をし、お母さんとお兄さんと一緒にお念仏を称えました。
この「母の日」のプレゼントを一番喜んだのはもちろんお母さんでした。最も尊いそして心のこもった贈り物としてお母さんの心の中に一生残ることでありましょう。そして亡きお父さんも自分の息子の心の成長ぶりにきっとほほえんでおられたことでしょう。
マーシャル君は四世の青年ですが、お念仏の尊さを彼なりに味わっているのです。南無阿弥陀仏の六字のなかに如来さまの慈悲と智慧が全て含まれておりナモアミダブツと称える称名に、私たちの感謝の念が含まれております。彼は本当にお母さんに〃ありがとう〃といいたかったのです。それを彼がお念仏で云ったところが有り難いではありませんか。
合 掌 宮地