Orange County Buddhist Church
一筆啓上
私の好きな本の中に「日本一短い手紙」という題の小冊があります。この本は一九九六年に福井県丸岡町の編纂で出されたものですが、私は今でも時々読むことがあります。
この書物のタイトルが「日本一短い手紙」とあるのは、その昔、徳川家康の家臣、本多作左衛門重次が戦の最中、陣中から妻に宛てて送らた手紙で、大変短く用件のみを明確に伝えられたという素晴らしい手紙として、今日まで伝えられています。その手紙には「一筆啓上、お仙なかすな 馬こやせ」とだけ書かれたものです。
これはおそらく、今で云う暗号文でしょうか? もし、敵にこの手紙が渡っても唯、夫から妻への手紙と見るだろう、という考えがあったと思われます。
しかし、この手紙を受けとった重次の妻は、手紙の意味を完全に理解し、早速、お仙(後の城主 本多成重)に「馬肥やすように」すなわち、すぐに起こるであろう次の戦さの為に、馬を多く準備しておくようにと伝えたと云うことです。
その本多作左衛門の出身地は、福井県丸岡城ですので、福井県と日本郵政局が中心となってこの「日本一短い手紙」という本が出版されることになったのです。
その出版にさきがけ、まず題を「愛」として、いかに最小限の言葉を使って最大の「愛」を伝えることが出来るかという意味で、日本全国から短文を応募しました。その結果、わずかの期間に約六万五千通の応募が寄せられたということです。
さて、今月はその中から最優秀賞を取った手紙をここに紹介いたしましょう。( )内の感想は、私が勝手に解釈をして書きそえておきました。しかし、あくまでも自分の経験を通して、自分で読んでいただく方が味わいあるものになると思います。
*お届け致しました「愛」コワレ物です。
取り扱いには充分お気を付け下さい。
北海道 太田博
*「建築家になる」
ぴかぴかの瞳で話す貴方の、
最高のパートナーになるつもりです。
北海道 菅原なおみ
*フランスが遠いのではなく、
私の心が届かない、
あなたの心が遠いのです。
埼玉 松永晶子
*母ちゃん、
一緒に住む話、もうチョット待って。
家つぶれてしもたんよ、私頑張るからね!
兵庫県 吉田知美
(遠くで一人で住んでいる母への思いが、強く感じられますね)
*おかあさん、お父さんも天国へでかけたよ。
駅長さんの帽子かぶっていったからね。
秋田県 冨木貞子
(今は亡きお父さんは、駅長という職を本当に誇りに思っておられたのでしょうね。天国を浄土に変えて読ましていただくと、故人が「出かけた」という思いは、浄土真宗の往相の廻向であり、また倶会一処の世界ですね)
*主人から・・・
「病気ごと、俺が嫁にもろたるわ。」
あなたからの最初で最後の愛の告白。
兵庫県 浜勝江
(日本人は、愛の告白は大変下手なのだそうです。家族に、特に妻には「僕はおまえを愛している」という言葉、はなかなか出てこないものですね。しかし、心では言っているのではないでしょうか)続は7月号になります。
合掌 宮地 彰雄
June 2008
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