Orange County Buddhist Church
年末によせて
二〇〇二年もあと一ヵ月を残すばかりとなりました。
今年も一年を通して、皆さまから絶大なるご支援とご協力を仏教会のためにして下さいましたことに深くお礼を申し上げます。また私や民子が、公私にわたりオレンジ郡仏教会の会員の方々には大変お世話になりましたこと、心より感謝し、お礼を申し上げます。
来年の二〇〇三年も皆さまと共にお念仏を少しでも慶こび、親鸞聖人のご精神であります「世の中安穏なれ、 仏法弘まれ」に精進していきたいと念願するものであります。
今年一年をふり返って見ますと、まず第一に、何と月日のたつのが早いことと驚かされます。第二に、この一年一体何を学び、何を修得出来たかと思いますに、聖人のお心に何一つ添えなったことに深く反省させられる年の暮れであります。
しかし、今年も沢山身に付け上手になったものが私にはあります。それは愚痴、文句、それから人さまを評価することはますます上達したようです。それは丁度悪徳裁判官のようなものです。すなわち「他の人は全て有罪、自分は全て無罪」です。深く反省させられます。
大阪の詩人であり念仏者の榎本栄一さんは、
「山の杉苗は五十年で世のお役に立つ」
しかし、私は杉よりもながい年月を経て、さて何んの役に立っているかと、述懐されています。
杉は、小さな杉の木の時からすでにきれいな空気(酸素)をつくると云われています。私の一生は杉の木にも及ばないとは悲しい限りであります。
私も来年こそ、いやたった今からでも聖人さまのご精神に少しでも添えますよう心がけたいと思っております。いや思うだけではなく実行いたします。
最近読ませていただいた、東井良雄先生の本に、年老いていく者の虚しさとそれだからこそお念仏が力強く輝いて下さる慶びの詩をご紹介しましょう。
老 木
もとの公会堂裏の
梅の 老木
いっぱいとはいえないが それでも
たくさん白い花を咲かせている
私も
もう一ヶ月で七十七になる老木
でも もう私には
咲かせる花は 何もない
お念仏の花以外には・・・
身体は老いの坂道をたどる一方ですが、心はなんとさわやかで感謝の気持ちが自然とお念仏になって出てくださる、そのお念仏は丁度梅の花のようだ。と東井先生は述べておられます。
また坂村真民先生の詩には
樹には 老醜がない とある
年をとるほど
風韻 風格を高めていく とある
年をとっても
としよりだからと 甘えることもなく
若者とおなじように
風雪に耐えて生きるからであろうか
年輪を刻んでいくからであろうか
老いた柿の木ほど
深い味の柿を実らせるのも
そういうことであろうか
それと反対に
「老」に甘えている私の生きざまがこの老醜を深めることになっているのであろうかとあります。
山の木は若木であれ、年輪をかなり重ねた木であれ、厳しい風雪には共に耐えているのです。私たちの人生も同じ事が云えましょう。若者には若者の「苦」が、老人には老人の「苦」があるということです。
坂村先生の詩には、お念仏とか仏さまと言う言葉は出てきませんが、「老いた柿の木ほど深い味の柿を実のらせる」とは、信心の味わいは年を取るほど益々味わい深いものになると、私は受けとめさせていただきました。
余談になりますが、昭和天皇は大変柿を好まれたそうです。特に奈良地方で取れる柿を、それは奈良の柿は大変古い柿の木から取ったものをご用達されたからだそうです。
この詩のなかに「老」に甘えるとありますが、老に甘えるとは、どんなことでしょうか。もう年だから何々は勘弁してもらうという態度のことでしょう。又はもう自分は何もしないが、人からは何々をしてもらうことをあたりまえになったりすることでしょうか。私はここを真宗的に解釈し、ご法義の聴聞のことと受け取らさせていただきました。
浄土真宗の行は聴聞です。蓮如上人は、「浄土真宗は聴聞につきる」と言い切っておられます。聴聞をすることについてはこの甘えはないのです。ご法座が少し寒い時に、また夜の時間に、そして少し遠い所であったりするとこの「甘え」が出てきて聴聞に行きません。
しかし、良く考えて下さい。お浄土に参らせていただくのは、この私だということを・・・
最後にアメリカの詩人ホイットマンの詩をご紹介しましょう。
ホイットマンは小学校だけしか出ていません。幼少の頃より色々な苦労をしてきました。そのひとつに彼は南北戦争に看護兵として志願し、戦争で死んでいく兵士や傷を負った兵隊達の看護を三年も続けた人でした。彼の苦労から生まれる詩は素晴らしいものがあります。
「女あり 二人行く
若きはうるわし
老いたるはなおうるわしい」
梅の老木にも白い花が咲きます。杉の木五十年で二〇〇年も耐えることの出来る家の柱になります。柿の木は老木ほど深みのある実をつけます。二〇〇二年もまもなく終わろうとしています。昔風に云えばまた一つ年を取ります。来年こそはこの老体にお念仏の花を咲かせたいものです。
合 掌 宮地
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